阪大発ベンチャー「HuLA immune株式会社」への投資を実行いたしました
阪大発ベンチャー「HuLA immune株式会社」へ投資を実行
大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社(以下「OUVC」)(本社:大阪府吹田市、代表取締役社長:神保敏明)を無限責任組合員とするOUVC1号投資事業有限責任組合(以下「OUVC1号ファンド」)は、12 月12日付で、HuLA immune株式会社(以下「HuLA immune」)(本社:東京都町田市、代表取締役:神藤康弘)に対し、1億円の投資を実行いたしました。
大阪大学荒瀬教授の研究成果を事業化
大阪大学微生物病研究所・免疫学フロンティア研究センターの荒瀬 尚 教授はJST CREST(2009.4-2015.3)の研究成果として、これまで解明が進んでいなかった自己免疫疾患の原因について新たな発症機序を発見されました。その後、JST STARTプログラム(2015.4-2018.3)でこの異常な免疫反応だけを選択的に抑制する方法が開発されました。その効果が動物モデルで検証されたことを受けて、対症療法の多い自己免疫疾患領域における新たな発症機序の発見に基づく根治療法の開発を目的とし、2017年3月にHuLA immuneが設立されました。
未だ原因が解明されていない自己免疫疾患
自己免疫疾患は、本来は生体防御のために働く免疫機能が自己の組織・細胞に対して作用することで引き起こされます。この疾患が発症する原因は未だに全容が解明されておらず、治療は対症療法にとどまっています。そのため症状の完治には至らず、より根本治療に近い新たな治療法の開発が望まれています。この取り組みには発症機序の解明や特定の免疫反応を抑制する手段を明らかにすることが必要となっています。その課題に対して、荒瀬教授は自己免疫疾患の標的となる分子を見出し、この分子に対する免疫反応を選択的に抑制する方法を開発しました。
HuLA immuneでは、自己免疫疾患の発症機序と新規治療法の発見に基づく知的財産をベースに、希少疾患を対象とした自社開発の医薬品開発を始めます。さらに、その他の対象疾患への展開及びプラットフォーム技術を武器とした製薬会社との共同開発を計画しています。
今回の投資資金で自己免疫疾患の診断薬・治療法を開発
自己免疫疾患の患者は病状の進行と闘いながら日常生活を送っています。発症機序からの創薬アプローチは、既存の治療法とは全く異なり、根治療法を実現する画期的な医薬品へと繋がる取り組みです。
HuLA immuneの設立はJSTのプログラムであるCREST及びSTARTで長年支援してきた研究成果の社会実装に向けた取り組みです。大阪大学の研究成果を事業化し、社会に還元することへのチャレンジであると評価できることから、OUVCが投資する意義は大きいものと判断し、投資を決定いたしました。
HuLA immuneは今回の投資によって調達した資金をもとに、自己免疫疾患の診断薬・治療法の開発を進め、医療の質の向上に寄与していきます。
・HuLA immuneの概要
会社設立 2017年3月
事業内容 医薬品などの研究・開発・製造および販売
所在地 東京都町田市本町田3599‐27
代表取締役 神藤 康弘(しんどう やすひろ)