大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社(以下「OUVC」)(本社:大阪府吹田市、代表取締役社長:神保敏明)を無限責任組合員とする、OUVC1号投資事業有限責任組合(以下「OUVC1号ファンド」)は、3月9日付で、株式会社イムノセンス(以下「イムノセンス」)(本社:東京都世田谷区、代表取締役:渡邉洋)に対し、6,000万円の投資を実行いたしました。
イムノセンスは、大阪大学大学院工学研究科・民谷栄一教授による、電気化学バイオセンサーに関する研究成果を実用化、社会実装するベンチャーとして、2018年1月に設立されました。 民谷教授は、「ナノ」と「バイオ」の融合領域の研究者として広く知られ、「電気化学によって免疫反応を定量化する」技術の研究に取り組んでいます。研究室では、ナノマテリアル(金属ナノ粒子・カーボンナノチューブなど)とナノ・マイクロチップ技術を駆使し、遺伝子、抗体、細胞などを解析するバイオセンサーをはじめとして、革新的技術の開拓が進められています。
イムノセンスの基盤技術となる電気化学バイオセンサーは、遺伝子、タンパク、細胞シグナルなどのバイオマーカーを、電極反応を用いて評価するものです。このバイオセンサーで用いられるプリンタブル電極は、量産可能でディスポーザブルであるため、健康医療診断、食品安全性検査などにきわめて有用であるとされています。すでに、これを用いて簡便型遺伝子診断を実現し、サルモネラやO-157大腸菌などの食中毒菌、インフルエンザウイルス、遺伝子組み換え食品、ハラル診断等で用いる肉質判定等の判定に成功しています。
民谷教授は、上記のバイオセンサーを応用して、小型軽量な電気化学測定装置を開発し、現場での測定を可能とするPOCT(Point of care testing) を指向したバイオセンサー開発を進めています。イムノセンスは、このバイオセンサーの実用化に取り組みます。
POCT検査は、開業医、専門医の診察室、病棟および外来患者向け診療所などの「患者の近いところ」で行われる検査の総称で、一般的には「患者の身辺での検査」、病院での「ベッドサイド検査」、「中検以外での検査」を意味します。POCT検査は、検体を検査に送出するのではなく、患者の近くで検査が行われるため、検査結果を即座に医師が判断することや、迅速な処置や予後のモニタリングが可能となることから、診療の質の向上に大きく役立つ検査方法として注目されています。 イムノセンスは、「小型・安価」で、「血糖値計のような簡単なプロセス」で多様な疾患に対するバイオマーカーを測定する高精度なPOCT診断デバイスを開発し、日本にとどまらず、世界中の医療現場に展開させていくことを目指しています。
民谷教授が長年にわたり培ってきたバイオセンサーの開発実績および技術力は、工学分野にとどまらず医学系分野においてもきわめて高い評価を受けています。また、POCT検査に対する医療関係者のニーズは高まっており、イムノセンスが開発する小型・安価・高精度のPOCT診断デバイスによって新たな市場を開拓するポテンシャルは高いと考えられます。
イムノセンスは今回の投資によって調達した資金をもとに、新規POCT診断デバイスの実用化へ向けて、人材採用を進めるとともに、本デバイスのプロトタイプの作製、各種バイオマーカーを用いた性能評価などの基礎開発に取り組みます。
・イムノセンスの概要
会社設立 2018年1月
事業内容 免疫反応を定量化する電気化学測定技術を用いた、小型・安価・高精度なPOCT 診断デバイスの開発
所在地 東京都世田谷区
代表取締役 渡邉 洋(わたなべ ひろし)
URL http://immunosens.com/