▶ 特徴・独自性
ラマン分光器は試料に単一波長の励起光を試料に照射し、励起波長と異なる試料分子由来の波長のラマン散乱光を、分光器を通してスペクトルとして光検出器で計測する。非染色、非侵襲で成分分析が可能であるが、ラマン散乱光は励起光の100 万分の1 程度の極めて微弱な光であるため、測定点1 点につき、1 回あたり数分の測定時間が必要である。多数の成分分析には、非常に長い時間が必要であり、二次元の成分分布の測定は出来ない。
本技術は、広い範囲を高い集光効率で実現し、装置に実装する点が特徴・独自的であり、多点・大面積から同時にラマンスペクトルを取得できるようになる。検出のための光学系を工夫し、マルチウェルプレート上の多数の試料を同時に分光分析する手法の有用性の確認を行っている。これにより、分析にかかる時間が大幅に短縮でき、製薬・創薬のスクリーニング試験、再生医療における細胞活性観察、食品製造現場における品質管理、セキュリティ面での爆発物の分析などへの幅広い応用が可能であると考える。ラマンスペクトルという豊富な情報を同時検出する価値は高い。
▶ 社会実装と実用化への可能性
我々は、既に、本技術の原型試作を作成済であり、製薬・創薬スクリーニング応用の実証実験を実施中である。さらなる高感度化のための光学系も検討中であり、社会実装・実用化の可能性は高いと考える。
▶ 事業化フェーズ
大阪大学「起業プロジェクト育成グラント」を活用した起業プロジェクトが進行中
▶ 募集するポジション
創業メンバー(CEO候補)
特 許 WO2016/121946 多焦点分光計測装置、及び多焦点分光計測装置用光学系
論 文 川越 寛之、安藤 潤、闐闐 孝介、袖岡 幹子、藤田 克昌 多焦点ラマン分光装置による高速ラマンスクリーニング(High-speed Raman screening with a multi-focus Raman spectrometer)応用物理学会春季大会 2019, 口頭発表
参考URL https://lasie.ap.eng.osaka-u.ac.jp/home_j.html