大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社(以下「OUVC」)(本社:大阪府吹田市、代表取締役社長:清水速水)を無限責任組合員とするOUVC2号投資事業有限責任組合(以下「OUVC2号ファンド」)は、アルファフュージョン株式会社(以下「アルファフュージョン」)(本社:大阪市北区、代表取締役CEO:藤岡 直)に対し、9月30日付で300百万円の投資を実行しました。
OUVC2号ファンドは、アルファフュージョンに対して2023年3月に100百万円の投資を実行しており、今回は2回目の投資実行となります。
アルファフュージョンは、大阪大学核物理研究センター(以下RCNP)、同放射線科学基盤機構、同理学研究科、同医学系研究科が連携して医療応用に取り組む新規核医薬モダリティであるアスタチン-211(以下211At)による放射線核医学治療の社会実装を目指す大阪大学発のベンチャー企業です。
211Atは、放射線の一種であるアルファ線を放つ放射性同位体(以下、核種)でその半減期は7.2時間です。長年、癌に対する放射線内部照射による核医学治療(体内に核種を取り込んで癌細胞を殺傷する治療)はベータ線を利用するのが主流でしたが、アルファ線はベータ線よりエネルギーが高く飛翔距離が短いため、ベータ線より癌に対して高い殺傷能力を持ちながら、正常細胞への影響が少ない医療応用が期待できます。一方で半減期が短いことから治療に必要な量の211Atを安定して製造し、所定時間内に供給する体制が必要となります。
211Atはビスマスという金属から加速器(サイクロトロン)を用いて製造されますが、大阪大学では211Atの製造から薬剤化までのプロセスに対応することが可能です。2021年11月から大阪大学医学部付属病院においてアスタチン化ナトリウムによる難治性甲状腺癌を対象にした医師主導治験が継続しておりますが、2024年6月からはさらなるパイプラインとして難治性前立腺がんに対する医師主導治験も開始しております。
アルファフュージョンは、大阪大学の基礎研究、製造から治験まで実施可能なエコシステムを基盤に大手加速器メーカーとも連携し、211Atによる新たなアルファ線核医学治療の開発・事業化を担います。
今回の資金調達により治験の推進および米国をはじめとした各国でのCMO技術移管・サプライチェーンの構築を進める計画です。また今回のラウンドではOUVC2号ファンドとともに、SBIインベストメント等複数の投資家が出資を行いました。新たな放射線核医学治療の確立に期待しており、OUVCは今後も支援を行って参ります。