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「アルファフュージョン株式会社」への投資を実行しました

Alpha Fusion_Blog「アルファフュージョン株式会社」への投資を実行

 大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社(以下「OUVC」)(本社:大阪府吹田市、代表取締役社長:清水速水)を無限責任組合員とするOUVC2号投資事業有限責任組合(以下「OUVC2号ファンド」)は、アルファフュージョン株式会社(以下「アルファフュージョン」)(本社:大阪市北区、代表取締役CEO:藤岡 直)に対し、2月28日付で100百万円の投資を実行しました。

 

「アスタチン-211による癌をターゲットとした標的α線核医学治療」の開発

 アルファフュージョンは、大阪大学核物理研究センター(以下RCNP)、同放射線科学基盤機構、同理学研究科、同医学系研究科が連携して医療応用に取り組む新規核医薬モダリティであるアスタチン-211(以下211At)による放射線核医学治療の社会実装を目指す大阪大学発のベンチャー企業です。
 211Atは、放射線の一種であるアルファ線を放つ放射性同位体(以下、核種)でその半減期は7.2時間です。長年、癌に対する放射線内部照射による核医学治療(体内に核種を取り込んで癌細胞を殺傷する治療)は、ベータ線を利用するのが主流でしたが、アルファ線はベータ線よりエネルギーが高く、飛翔距離が短いことからベータ線より癌に対して高い殺傷能力を持ちながら、正常細胞への影響が少ない医療応用が期待できます。一方で半減期が短いことから治療に必要な量の211Atを安定して製造し所定時間内に供給する体制が必要となります。
 211Atは、ビスマスという金属から加速器(サイクロトロン)を用いて製造されますが、大阪大学では、211Atの製造から薬剤化までのプロセスに対応することが可能です。2021年11月から大阪大学医学部付属病院においてアスタチン化ナトリウムによる難治性甲状腺癌を対象にした医師主導治験が開始されました*。211 At は癌特異的に結合する様々な分子や抗体に標識することが可能であり、難治性甲状腺癌はもとより、将来的にはそれ以外の多様な癌に対しても治療効果が期待されています。

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*本治験では理化学研究所の加速器で製造された211Atの供給を受けている。


今回の資金調達により創薬パイプラインを拡大

 アルファフュージョンは、大阪大学の基礎研究,製造から治験まで実施可能なエコシステムを基盤に大手加速器メーカーとも連携し、211Atによる新たなアルファ線核医学治療の開発・事業化を担います。
今回の資金調達により大阪大学研究グループや関連企業等とのより強固な連携のもと、癌に対する創薬パイプラインを増やしていく計画です。新たな放射線核医学治療の確立は医学的・社会的な意義が大きく、投資を実行致しました。

 

アルファフュージョンの概要

会社設立 2021年4月
事業内容 標的α線核医学治療(TAT)による抗がん剤の開発
所在地 大阪市北区
代表取締役CEO 藤岡 直
URL https://alpha-fusion.com/

 

OUVC2号ファンドの概要

ファンド名称 OUVC2号投資事業有限責任組合(OUVC2号ファンド)
ファンド規模 106.5億円
運用期間 2021年1月1日~2032年12月31日(最大3年の延長可)
投資対象 大阪大学並びに他の国立大学の研究成果を活用したベンチャー企業
有限責任組合員 大阪大学、国内金融機関・事業会社
無限責任組合員 大阪大学ベンチャーキャピタル