アカデミアが市場人気を作り得るか
蜂の巣は科学と産業の偉大な育成所―マンドヴィルが『蜂の寓話』で記した一節にある蜂の巣は、11月になれば越冬準備期に入る。冬を迎える年末にかけては、経験的に新興市場株価も低落傾向にある。
ただ、個別で見れば様相は異なる。新興市場で安定性と歴史があるジャスダックの動きを見ると、11月1日の年次で過去20年の時価総額は一時の人気を経た後に安定を保ってきた。足元は反発の気配を見せている。
上場銘柄数は2000年初頭には950銘柄前後で推移していた。ここ4年は700銘柄台で推移している。東証上場への移行が急増したのが過去20年だったと言える。
2000年前後の人気業種は広い意味でのIT。ヤフー、ジャフコ、オラクルなどの動きが指数に大きく影響していた。ITバブルの時代だったと総括されてしまっている時期の株価、時価総額は1999年にピークを記録した。
次の時代に人気業種となったのはゲーム。この市場を経て多くの銘柄は東証1部へ移って行った。その後を継いで市場の関心を惹いて来ているのはバイオ・医薬品だ。この変化は、銘柄数の減少を相殺して時価総額を維持する効果があったように思える。
実際、1銘柄当たりの時価総額(=市場時価総額÷上場銘柄数)で見ると、市場時価総額よりも変化率が高い形で推移している。市場が低迷する季節性があっても、特定の業種については話が異なる可能性がある。蜂の巣とアカデミアの類似点が市場の支えになれるかどうか、の時期に差し掛かってきたとも言えるのではないか。
2019年11月1日 代表取締役 神保 敏明
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